「土地買取と仲介の違いについて知りたい!」
「土地は買取で売却しても良い?」
土地を売却する方法は「買取」と「仲介」の2種類あります。
買取と仲介の主な違いは、以下の通りです。
土地の 売却方法 | 買取り先 | 主なメリット | 主なデメリット |
---|---|---|---|
買取 | 不動産会社が直接買い取ってくれる。 | 早期に不動産を売却できる。 | 価格は相場より安くなる。 売却価格は相場の7割から8割になります。 |
仲介 | 不動産会社が買い手を探してくれる。 | 相場価格で不動産を売却できる。 | 買い手を探す期間が必要。 一般的には約3か月の時間を要します。 |
買取と仲介の売却方法には、さまざまなメリット・デメリットがあります。
土地を売却する場合は、買取か仲介のどちらが適切かわからない方もいるかもしれません。
結論からいうと、買取で売却する方法は、すぐに土地を売りたい人に向いています。
買取は、不動産会社が直接買い取ってくれるため、買い手を探す必要がありません。
そのため、売主と不動産会社のみのやり取りで、土地売却が可能です。
土地を売却する際は、買取と仲介どちらを選ぶ場合も、自身で相場調査をしておく必要があります。
国土交通省では「不動産取引価格情報提供制度」があり、実際の取引価格情報を確認可能です。
不動産取引価格情報提供制度
誰でも安心して不動産の取引を行えるように、実際の取引価格情報を数多く蓄積し、広く皆様へ提供していく、国の制度です。
平成18年4月より、不動産取引当事者へのアンケート調査をもとに情報を蓄積し、約547万件(令和7年3月31日時点)の取引価格情報を提供しています。引用元:国土交通省
実際の取引価格の情報は、買取と仲介どちらを選ぶ場合も相場を把握するために役立てられます。
この記事では、土地買取・売却で損をしない方法と、仲介との違いや依頼する際の注意点を徹底解説します。
この記事の早見表 | |
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土地買取と仲介の違いは? | 買取と仲介の違いは価格と売却までの期間 |
土地買取で売却を進める注意点は? | 土地買取の査定依頼は1社のみにしない |
土地買取のメリットは? | 買い手を探す手間を省いて売却できる |
土地買取のデメリットは? | 売却価格は相場の7割から8割になる |
土地買取で価格交渉する方法は? | 事前に近隣の相場を調べておく |
土地買取に向いている人の特徴は? | 早期売却で手元に現金を欲しい人 |
土地買取と仲介の主な違いは価格と売却までの期間

土地買取と仲介へ依頼する際の主な違いは、価格と売却までの期間です。
- 買取:「売却価格」が安くなりやすい一方で、売却までの期間が短い
- 仲介:「売却価格」は高くなるものの、買主を探すために時間がかかる
土地買取は、不動産会社が買い手となって、売却手続きが早期に完了しやすいのが特徴があります。
しかし、不動産会社は転売や再販で利益を得る目的があるため、仲介での売却価格より低めの買取金額になりがちです。
一方、仲介売却は一般の買主を探すため、土地・物件の宣伝や内覧対応などの時間が必要です。
その代わり、タイミングや買主との交渉次第では相場に近い、または相場以上の価格で売却できる可能性があります。
下記では、買取と仲介それぞれの方法で不動産を売却した例を紹介します。
- 古家付きの土地を所有しているAさん
早急に手放したい事情があり、買取業者に相談した結果、約2週間で売却完了。
ただ、相場価格は1,000万円だったが、800万円での売却で2割ほど安くなってしまった。
- 立地の良い住宅地に土地を持つBさん
地元の不動産会社に仲介を依頼して、買主との交渉で希望価格で売却できた。
ただ、買い手探しの期間は3か月ほどかかってしまった。
買取と仲介は「価格重視」なのか「早期売却重視」なのかによって、選ぶ売却方法が変わってきます。
売却価格を高値で売却したい場合は仲介で、早く現金化したい・事情を抱えている(相続、買い手が見つかるか不安)などがある場合は、買取を選ぶとよいでしょう。
買取業者は早期売却可能で価格は相場より安くなる
買取業者は、早期売却可能で価格は相場より安くなります。
買取は、特殊な事情や問題を抱えている土地を持つ人に、適切な売却方法です。
特殊な事情や問題を抱えている土地は、買い手がすぐに見つからない可能性があります。
そのため、土地を買取で売却する方法は、以下の問題や不安を抱えている方に適切です。
古家付きの物件を仲介で売るには時間がかかりそう
需要のないエリアで買い手が見つかるか不安
仲介で時間をかけて高値で売却するより早期に処分したい
住み替えで早急に資金化して二重をローンを防ぎたい
転勤が決まって仲介で長期間売り出す余裕がない
買取業者は、仲介で買い手が見つかるか不安、すぐに売却が必要になったなどの理由を持つ方に向いている売却方法です。
買取での売却期間は、1~2週間から2か月程度で、決済・引き渡しまでおこなわれるケースがあります。
権利関係の整理が必要な場合は、他の権利者とのスケジュールで長期化する場合もあるため、最長で2か月程見ておいた方が安心です。
仲介業者は買主を探す期間が必要で相場価格で売却できる
仲介業者は、買主を探す期間が必要で相場価格で売却できる可能性があります。
仲介は、売却までに時間がかかっても高値・相場価格で売却したい人に、適切な売却方法です。
仲介不動産会社では、買い手を探すための「査定・売出価格・買い手との交渉・手続き」などの売却活動をサポートしてくれます。
買い手が見つかった場合でも、価格交渉や手続きなどの手順が必要になるため、一般的に売却まで3か月ほど必要です。
また、買主が決まった場合は、成功報酬として仲介業者へ仲介手数料の支払いが必要です。
仲介手数業者は「宅地建物取引業法」に基づいて、仲介手数料を設定します。
仲介手数料は成功報酬であるため、売買が成立しない限りは支払う必要がありません。
また、売買価格が決定した際に手数料が算出されます。
仲介手数料を支払うタイミングは、一般的に売買契約時と引渡し時の2回です。
引用元:公益社団法人 全日本不動産協会
仲介業者では、相場価格で売却できる一方で、売却まで期間がかかる点と仲介手数料の支払いが必要です。
そのため、仲介で土地売却は、時間がかかっても高値・相場価格で売却したい人に向いているといえます。
土地買取で売却を進める場合の注意点

土地買取で売却を進める場合の注意点を解説します。
土地買取に関する注意点は、以下の通りです。
- 査定依頼は1社のみにしない
- 着手金や手数料を要求する不動産会社は利用しない
- 権利証や登記識別情報通知書は入金確認後に渡す
- 媒介契約は複数社へ依頼できる一般媒介を結ぶ
土地買取を進める場合は、複数の不動産会社や買取業者を比較して進めることが重要といえます。
なぜなら、複数社からの査定結果を比較することで、適正価格かを判断できるからです。
土地買取は、仲介と比較して買主側との交渉力や査定額の根拠を確かめる機会が限られます。
また、土地の買取は「売主と買取業者」の2者間での取引です。
仲介不動産会社ではなく、買取の場合は着手金や手数料は発生しないため、要求してくる業者には注意が必要です。
土地買取で売却する場合は、注意するべき点が多数あります。
土地買取で依頼する場合は、あらかじめ注意点を把握したうえで利用を検討しましょう。
土地買取の査定依頼は1社のみにしない
土地買取の査定依頼は、1社のみだけではなく必ず複数社へ査定依頼をしましょう。
1社の査定だけでは、適正価格を判断できず不利な条件で売却してしまうリスクがあるからです。
買取業者によっては、得意とするエリアや物件タイプが異なるため、査定額・サービスに内容に差が出ることは珍しくありません。
そして、買取業者は再販時の売れ残りリスクも考慮して、査定価格を設定する可能性もあります。
適正価格かを判断するためには、複数社の査定を比較して、相場の客観視と価格を比較することが重要です。
複数社への査定依頼は、やり取りが増えるため手間に感じるかもしれません。
しかし、土地の査定額は数十万~数百万円単位で変わってくるものです。
土地を買取業者へ売却する際は、最低でも3社以上からの査定依頼をおこないましょう。
着手金や手数料を要求する不動産会社は利用しない
土地を買取してもらう際に、着手金や手数料を要求する不動産会社は利用しないようにしましょう。
なぜなら、土地買取は仲介ではないため、手数料を支払う必要がないからです。
買取業者と仲介業者へ依頼する際の費用には、主に以下の違いがあります。
依頼先 | 共通しない費用 | 共通する費用 |
---|---|---|
買取業者 | ・仲介手数料 ・測量費 (境界確定費用) ・解体費用 (古家付き土地の場合) | ・印紙税 ・抵当権抹消費用 (ローン残債がある場合) ・譲渡所得税 (譲渡益が出た場合) ・不用品処分費・残置物撤去費用 (物件内に残存物がある場合) |
仲介業者 |
買取業者は、仲介手数料に加えて「測量費・解体費用」を支払う必要がありません。
測量費・解体費用は、買取業者が負担するからです。
買取業者は、測量や解体専門の業者へ売却後に依頼するため、必要な費用を差し引いたうえで査定額を算出します。
査定価格が仲介より低くなる理由は「測量費・解体費用」が含まれているのも理由のひとつです。
買取で依頼する場合は、契約が締結される段階で費用が発生します。
契約前の着手金や着工費用の名目でお金を要求するのは不自然なため、注意が必要です。
権利証や登記識別情報通知書は入金確認後に渡す
土地の権利証や登記識別情報通知書は、売却代金が入金されたことをしっかり確認してから渡すことが重要です。
加えて、実印や印鑑証明書に関しても、管理をしっかりおこなう必要があります。
登記の申請には、登記識別情報のほかに、印鑑証明書などの情報が必要だからです。
登記識別情報の不正使用について
登記の申請には,登記識別情報のほかに,印鑑証明書等の添付情報が必要となりますので,実印や印鑑証明書の管理をしっかり行っていれば,勝手に登記されるということはありません。また,登記識別情報を紛失しただけでは,登記記録上の権利には何らの影響もありません。
引用元:法務省
登記申請は、権利証や登記識別情報通知書だけではおこなえない仕組みとなっています。
しかし、第三者の手に渡ってしまった場合に、詐欺被害を被るおそれも否定できません。
入金前に権利証などを渡してしまった場合は、登記所への出頭で不正登記の防止が可能です。
法務省では、申し出から3か月以内に不正な登記を防止するための「不正登記防止申出の制度」があります。
ただ、入金確認後に権利証や登記識別情報通知書を渡すことで、不正登記を未然に防ぐことが可能です。
登記の申請に必要な書類は、売却代金が入金されたことを確認した後に渡しましょう。
仲介での媒介契約は複数社へ依頼できる一般媒介を結ぶ
仲介で土地を売却する際の媒介契約は、複数社へ依頼できる一般媒介を結びましょう。
なぜなら、仲介で相場価格での売却を希望しているのにも関わらず、買取業者に売られる可能性があるからです。
悪質な仲介業者だった場合は、買取業者と結託していて、最初から買い手を探さず安価で売却させるケースがあります。
ただ、一般媒介は複数社への依頼が可能なため、上記のケースを防ぐことが可能です。
仲介で依頼する際の媒介契約は、以下の3種類から選べます。
媒介契約の種類 | 依頼できる不動産会社の数 | レインズ登録義務 | 業者からの報告義務 |
---|---|---|---|
一般媒介契約 | 複数社へ依頼可能 | なし (任意登録) | 報告義務なし |
専属専任媒介契約 | 1社のみ | 契約締結日から5営業日以内に登録 (登録義務あり) | 1週間に1回以上 |
専任媒介契約 | 1社のみ | 契約締結日から7営業日以内に登録 (登録義務あり) | 2週間に1回以上 |
不動産会社は「専属専任媒介契約・専任媒介契約」どちらかの場合、売主に対して定期的に売却活動の報告が必要です。
一方、一般媒介には報告義務が定められていません。
ただ、一般媒介では1社で買い手が見つからない場合でも、もう1社で買い手を見つけられる可能性を広げられます。
仲介で売却する際は、媒介契約によって依頼社数が異なるため、注意したうえで判断しましょう。
土地買取で不動産会社へ売却する場合のメリット

土地買取で不動産会社へ売却する際のメリットを解説します。
土地買取で売却するメリットは、以下の通りです。
- 買い手を探す手間がなく短期間で売却できる
- 古家付きの土地は解体する必要がない
- 土地の確定測量をおこなわずに売却できる
- 再建築不可でも買取してくれる
- 契約不適合責任を負う必要がない
土地を買取で不動産会社へ売却する場合は、買い手を探す手間を省けて短期間で売却できるなど、多数のメリットがあります。
特に、古家付きの土地や再建築不可でも引き受けてくれるメリットは、魅力的です。
買取は、不動産会社が直接買主となります。
そのため、買い手探しに必要な広告費用や内覧対応がなく、売主に時間的・金銭的な負担が発生しにくいです。
土地買取は、仲介と比較して積極的に買い取ってくれるため、売却できるか不安な場合でも安心して依頼できます。
以下では、土地買取で売却する際のデメリットについて、それぞれ解説します。
買い手を探す手間を省けるため短期間で売却できる
土地買取で売却する場合は、買い手を探す手間を省けるため、短期間で売却できるメリットがあります。
仲介での売却は、一般の買主を見つけるために不動産会社による広告活動・内覧対応が必要です。
買主が見つかるまでの期間は、土地の立地や状態によって異なり、数ヶ月~半年以上かかる場合もあります。
一方、買取業者へ直接売却する場合は、買い手探しの期間が省略されるため数週間~2か月程で売却可能です。
土地売却を「買取業者に依頼する手順」と「仲介業者に依頼する手順」には、以下の違いがあります。
買取業者へ依頼する手順
- 買取実績や信頼性のある業者をリサーチして、複数社へ査定依頼を申し込む
- 業者の対応や提示条件を比較して、依頼先を選ぶ
- 現地調査や書類確認をもとに買取価格や条件が提示されます
- 売主に必要な負担費用を確認して、必要に応じた交渉をおこなう
- 提示条件に合意した後、買取業者と売買契約を結ぶ
- 決済日・引渡し日を確認し、契約不適合責任の範囲などをチェック
- 決済日に売却代金の受領と同時に、所有権移転登記手続きをおこなう
- 権利証や登記識別情報通知書など重要書類は、入金確認後に渡すのが原則
- 印紙税や抵当権抹消費用などの精算を実施
- 譲渡益が発生する場合は、確定申告の準備を進める
仲介業者へ依頼する手順
- 売却実績や信頼性のある業者をリサーチして、複数社へ査定依頼を申し込む
- 一般媒介、専属専任媒介、専任媒介のいずれかを結ぶ
(複数社で買い手を探す場合は一般媒介を結ぶ)
- 不動産会社が広告・宣伝をおこない、内覧などの対応をする
- 買主からの価格交渉や条件交渉に応じて、合意に向けて進める
- 重要事項説明を受けた上で、売買契約書を取り交わす
- 物件の状態や契約不適合責任の範囲を詳細に決める
- ローン残債がある場合は抵当権抹消手続きを進める
- 決済日に買主・売主・司法書士などで集まり、売買代金の受領と所有権移転登記を同時におこなう
- 仲介手数料、印紙税、抵当権抹消費用などを精算
- 譲渡所得税が発生する場合は、後日確定申告をおこなう
土地の売却を仲介で依頼する場合は、買い手を探している期間も管理費用など必要になります。
土地をすぐに手放したいと考えている方は、買取での依頼が適切な方法です。
ただ、買取の場合は仲介と比較して売却価格が安くなる傾向があります。
なるべく価格を落とさずに土地を売却したい場合は、複数の買取業者を比較して高値で売却できる買取先を選びましょう。
古家付きの土地は解体する必要がない
土地買取で売却する際に、古家付きの土地は解体する必要がありません。
買取業者によっては、古家の解体を買い取った後におこなう方が都合がいいケースがあるからです。
買取業者側で解体をおこなう場合、売主は解体による追加コストを抑えて、土地を売却できるメリットがあります。
ただ、買取業者で古家の解体をおこなう場合は、解体費用を調整した買取価格を提示される認識を持っておきましょう。
一般的に築25年以上の物件は、価値が付かず「古家」として扱われます。
建物の減価補正率は、築年数によって評価されるからです。
そのため、建物に価値が付かない場合は、土地のみの評価額となります。
買取業者は、土地のみを評価対象として価格設定をおこなうため、古家付きでも売却可能です。
土地の確定測量をおこなわずに売却できる
買取で不動産会社へ依頼する場合は、土地の確定測量をおこなわず売却できるケースがあります。
なぜなら、買主となる不動産会社が測量の必要性や、境界確定の費用負担を前提に買取価格を調整してくれるからです。
売主にとっては、測量費用を抑えることが可能で短期間での売却をおこなえます。
ただ、以下の証明書を法務局から取得可能な場合でも、買取価格に境界確定の費用が含まれないとは限りません。
- 土地・建物の登記事項証明書
- 地図証明書
- 地積測量図等の図面証明書
上記の書類は、不動産の登記情報や地積・地図状況を法務局が公的に記録しているものです。
しかし、実際の隣地と境界を最終的に確定させるために必要な「境界標の設置」「隣地所有者との立ち合い」などの手続きは、完全に不要になるわけではありません。
過去に測量図が作成されている場合でも、境界標がずれている、あるいは紛失しているケースもあるからです。
また、買取業者は境界トラブルのリスクを防ぐために、改めて測量・境界確定をおこないます。
土地を買取業者へ売却する場合は、売主側で確定測量が不要な場合でも、境界確定の費用が買取価格に反映される認識を持っておきましょう。
再建築不可の土地でも買取してくれる場合がある
買取を専門とする不動産会社は、再建築不可の土地であっても買取してくれる場合があります。
土地再活用のノウハウを持っている買取業者の場合は、再販して利益を得られる可能性があるからです。
再建築不可物件とは
再建築不可物件とは、いま建っている建物を撤去した後に、新しい建物を建てること(再建築)が法令によって認められない不動産物件(建物と敷地の組み合わせ)のことです。
引用元:一般社団法人日本建築学会
仲介で再建築不可の土地を売り出す場合は、需要がなく買い手が見つかりづらいケースがあります。
長期間売り出したにも関わらず、買い手が見つからなかった場合は、管理費用や固定資産税などもかさむ状態が続いてしまいます。
しかし、土地買取を専門とする不動産会社は、再生ノウハウやネットワークを活かせるため、再建築不可物件でも買取が可能です。
再建築不可物件を短期間で処分したい、将来的な固定資産税の負担を避けたい場合は、複数の買取業者へ依頼してみるのが得策といえます。
契約不適合責任を負う必要がない場合がある
不動産会社による買取では、売主が契約不適合責任を負う必要がありません。
なぜなら、買取業者は「土地に関わる欠陥」や「土壌汚染の可能性」などを徹底的に調べたうえで、買取りするからです。
契約不適合責任は、2020年4月1日から改正民法で「瑕疵担保責任」に代わって導入されました。
契約不適合責任の概要は、以下の通りです。
契約不適合責任の概要 | |
---|---|
対象 | 種類、品質、数量に関して契約内容と異なる場合 |
請求内容 | 履行の追完、代金減額、損害賠償、契約解除 |
請求期間 | 不適合を知った1年以内(種類・品質の場合) |
免責事由 | 売主が引き渡しの際に悪意や重過失があった場合 |
仲介で一般の個人買主へ売却する際に、土地・物件に隠れた欠陥や問題が見つかった場合は、責任を追及される可能性があります。
一方、買取業者はプロとして土地の状態を熟知して、売主へ責任が及ばないようにリスクを織り込んだうえで買取するケースが一般的です。
契約不適合責任を負わなくてもよい形で依頼できる不動産会社は、土地売却でトラブルリスクを避けたい売主にとって有力な選択肢といえます。
土地買取で不動産会社へ売却する場合のデメリット

土地買取で不動産会社へ売却する際のデメリットを解説します。
土地買取で売却するデメリットは、以下の通りです。
- 土地の売却価格は相場の7割から8割になる
- 買取業者が主導となり価格交渉しづらい
- 1社のみの依頼は納得のいく査定結果を得られない
土地の買取を不動産会社に依頼する場合は、売却価格は相場の7割から8割で提示される場合があります。
買取業者は、買い取った土地の再販に価格費用やリスク、利益などを考慮して買取価格を設定するからです。
また、買主となる業者が主導兼を持っているため、価格交渉に応じてもらえない可能性もあります。
土地を買取で売却する際は、納得のいく査定結果を得られないなどのデメリットを考慮したうえで、検討しましょう。
以下では、土地買取で売却する際のデメリットについて、それぞれ解説します。
土地の売却価格は相場の7割から8割になる
買取での土地の売却価格は、相場の7割から8割になるデメリットがあります。
買取業者は、転売や再販する際に以下を考慮して価格設定するからです。
- 再販売にかかるリスクや費用を考慮するから
- 利益を考慮して買取価格を設定するから
買取業者は、再販・転売時に買い手が見つからない場合のリスクを考慮して価格設定をおこないます。
そのため、仲介売却のように個人の買主を探すケースと比較すると、価格が低めに見積もられる傾向があります。
レインズの「データライブラリー」では、土地面積に対する成約状況の価格が毎月公表されています。
データライブラリーでは、不動産流通機構に登録・成約報告された情報を集計しているため、相場調査の参考資料として利用可能です。
土地買取で売却を検討している方は、査定前に所有している土地の相場を調べたうえで依頼しましょう。
買取業者が主導となり価格交渉しづらい
不動産会社に土地を買い取ってもらう場合は、業者が主導となるため価格交渉しづらい場合があります。
仲介で売却する場合は、売主・買主との間で交渉や条件の調整をおこなって、両者が納得のいく形で進むのが一般的です。
ただ、買取業者が提示する価格は、再販・転売に関するリスクを考慮した価格でほぼ固定化されます。
売主としては、価格交渉する材料も乏しいため、ひとつのデメリットといえます。
もし、土地の価格にこだわりたい場合は、複数社へ査定依頼できる一括査定サイトの活用がおすすめです。
選択肢を広げることで、売主としても納得のいく条件で土地の売却を進められる可能性があります。
1社のみの依頼は納得のいく査定結果を得られない場合がある
土地の買取を依頼する際に、1社のみの査定に頼ると想定価格とかけ離れた提案を受け、納得のいく査定結果を得られない場合があります。
土地買取を依頼する場合は、複数社からの査定を受けて、比較することが重要です。
また、複数社からの査定を比較することで、各社の査定額は適正であるかを判断することもできます。
複数社から査定を受けるメリットは、価格交渉する際の材料としても利用可能です。
土地の買取は、業者が主導となる傾向があるため、複数社へ依頼していることを伝えることで買取価格を改めてくれる場合もあります。
土地買取で納得のいく売却をおこなうためには、複数社からの査定結果を比較しましょう。
土地買取で価格交渉する場合は事前に近隣の相場を調べておく
土地買取で価格交渉する場合は、近隣の成約事例と地価公示価格などをチェックして相場感を調べておくことが重要です。
相場を把握せずに価格交渉を始めると、提示額が本当に適正かどうかを判断できず、結果的に不利な条件で契約してしまう可能性があります。
国土交通省の不動産情報ライブラリでは、不動産価格や地価の情報をデータで検索可能です。
不動産情報ライブラリとは、不動産の取引価格、地価公示等の価格情報や防災情報、都市計画情報、周辺施設情報等、不動産に関する情報をご覧になることができる国土交通省のWEBサイトです。
引用元:国土交通省|不動産情報ライブラリ
土地の形状や接道状況が特殊な場合は、土地の評価が上下するケースもあります。
土地の魅力を買取業者へ伝えるためには、売主側で情報を整理しておくと、スムーズに話を進めることが可能です。
また、近隣の相場を調べておくことで、相場とかけ離れた買取価格を提示された場合に判断できます。
買取価格を提示された際は、自身で調べた情報と比較しながら話し合いをおこないましょう。
事前に相場を調べておくことで、査定の根拠が明確になり、納得しやすい価格提示を得やすくなります。
買取保証制度は買主が現れなかった場合に利用できる
買取保証制度は、買主が現れなかった場合に利用できる仲介不動産会社のサービスです。
買取保証制度は、仲介で一定期間売り出しても買主が見つからなかった際に、あらかじめ相談して決めた価格で不動産会社が直接買取してくれます。
買取保証付き仲介は、住み替えなどで現金化したい時期が決まっている場合でも、安心できるサービスです。
買取保証制度の利用は、最初はなるべく高値で売却できる仲介を利用したいけれど、最終的には確実に売却したい方に向いているといえます。
ただ、買取保証付き仲介不動産会社を利用する際は、いくつか注意点があります。
買取保証制度を利用する際の注意点は、以下の通りです。
- 買取価格は相場価格の7割前後になる可能性がある
- 契約できる不動産会社は1社に限られる
- 買取保証の条件や買取保証額は不動産会社によって異なる
買取保証制は不動産会社が直接土地を買取するため、相場価格の7割前後になる可能性があります。
そして、買取保証付きの仲介を利用する場合は、原則として「専属専任媒介」での契約が必要です。
専属専任媒介は、依頼できる不動産会社の数が1社のみのため、他の不動産会社への依頼ができません。
買取保証の条件や買取保証額は、不動産会社によって異なるため、複数社の買取保証制度を比較して選ぶ必要があります。
不動産一括査定サイトは複数社の査定結果を比較できる
不動産一括査定サイトは、一度の申し込みで複数社からの査定結果を比較できます。
一括査定サイトは、大手不動産会社から地域密着型の不動産会社まで、多数の業者と提携しているのが一般的です。
そのため「仲介を得意とする会社」や「買取に積極的な会社」など、さまざまな特徴を持つ査定結果を一度に入手できます。
結果として、相場を客観的に把握しやすくなり、価格交渉を進めるうえでの有力な手段のひとつです。
下記では、買取の依頼にも対応していて、完全無料で利用できる5つの不動産一括査定サイトをまとめてみました。
一括査定サイト | 特徴 | 最大依頼社数 | 売却方法 | 対応地域 | 提携会社数 | 運営会社 |
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すまいValue 詳細を見る | 大手6社による運営で 信頼性がある | 大手6社のみ | ・仲介 ・買取 (買取は一部大手不動産会社が対応) | 全国 | 運営会社である大手6社のみ | 小田急不動産(株) 住友不動産ステップ(株) 東急リバブル(株) 野村不動産ソリューションズ(株) 三井不動産リアルティ(株) 三菱地所ハウスネット(株) |
おうちクラベル 詳細を見る | 多様な不動産の 種類に対応 | 最大15社 | ・仲介 ・買取 | 全国 | 1,500社以上 | SREホールディングス株式会社 |
リビンマッチ 詳細を見る | 東証グロース市場上場で 約20年の運営実績 | 最大6社 | ・仲介 ・買取 | 全国 | 2,100社以上 | リビン・テクノロジーズ株式会社 |
イエウール 詳細を見る | 地域密着型の不動産会社と提携している | 最大6社 | ・仲介 ・買取 | 全国 | 2,600社以上 | 株式会社Speee |
いえカツLIFE 詳細を見る | 1度に3つの売却方法を 比較できる | 最大6社 | ・仲介 ・買取 ・リースバック | 東京都 神奈川県 埼玉県 千葉県 大阪府 | 800社 | 株式会社 サムライ・アドウェイズ |
上記の不動産一括査定サイトは、買取での売却依頼にも対応しています。
ただ、一部の一括査定サイトでは、買取で売却希望と伝える必要があるため、注意が必要です。
一括査定サイトでは、売出価格にも大幅な違いが出ることもあり、複数社から見積もりを取らないと売却チャンスを逃す可能性もあります。
最終的には、査定額だけでなく担当者の提案力や販売実績も比較して、納得のいく売却条件を探るのがポイントです。
土地買取の依頼に向いている人の特徴
土地買取の依頼に向いている人の特徴について解説します。
不動産の売却方法は、仲介での依頼が一般的なイメージを持っているかもしれません。
しかし、所有している土地の状態よっては、仲介よりも買取のほうが適している場合もあります。
土地買取の依頼に向いている人の特徴は、以下の通りです。
- 瑕疵や問題を抱えた土地の売却を検討している人
- 早期売却で手元に現金を欲しい人
瑕疵を抱えた土地は、仲介では売却できない可能性があります。
なぜなら、瑕疵を抱えた不動産は買い手の理解と納得を得られなければ、売買成立できないからです。
買取業者は、過去に瑕疵を抱えた物件を買い取った実績がある場合もあるため、買取での依頼が適切といえます。
以下では、具体的にどのような人が土地買取の依頼に向いているのかを解説します。
早期売却で手元に現金を欲しい人
早期売却で手元に現金を欲しい人は、買取での依頼が適切といえます。
仲介では、買い手を探すまでの期間が数ヶ月~半年ほどかかる場合があるからです。
買取では、業者との条件確認や買取価格が決まり次第売却できるため、数週間ほどで完了します。
また、権利関係の手続きで長期化した場合でも、2か月程で売却可能です。
資金化を急ぎたい事情は、売主によって異なるかもしれません。
買取での依頼は、以下の事情を持つ方に向いています。
- 相続税
- ローン返済
- 事業資金など
土地をすぐに売却して資金化したい希望が最優先の場合は、不動産会社への買取が最適です。
ただ、すぐに資金化できる反面、売却価格は相場よりやや低くなる傾向があります。
納得のいく土地買取をおこなうには、複数の買取業者と条件を比較して探すことが重要です。
瑕疵や問題を抱えた土地の売却を検討している人
瑕疵(かし)や問題を抱えた土地の売却を検討している人は、買取での依頼が適切といえます。
なぜなら、仲介で一般の買主を探す場合「土地の境界問題、土壌汚染、再建築不可など」のリスクがあると、買主が敬遠して成約に至らないケースがあるからです。
不動産における瑕疵は、主に以下の4種類に分類されます。
種類 | 瑕疵の内容 |
---|---|
心理的瑕疵 | 事件や事故歴などで心理的抵抗を感じる。 |
物理的瑕疵 | 雨漏り・構造欠陥など物件自体に欠点がある。 |
環境的瑕疵 | 騒音・悪臭など周辺環境に原因がある。 |
法的瑕疵 | 再建築不可など法令や権利関係の課題がある。 |
瑕疵を抱えた物件や土地は、瑕疵担保責任に関する専門知識や、一般的な不動産はおこなわない特殊な手続きが必要です。
買取業者では、瑕疵を抱えた物件や土地を買い取った実績を持つ業者も存在します。
加えて、売主と買取業者の2者間で話し合いがおこなわれるため、早期売却が可能です。
瑕疵や問題を抱えた土地は、仲介で買い手が見つからない可能性があるため、買取での依頼が向いているといえます。
まとめ
今回は、土地買取の売却について解説しました。
結論、土地の売却方法は「買取」と「仲介」の2種類あり、売主の希望によって適切な方法が異なります。
仲介は、買い手を見つけるまで長期間かかる可能性があり、相場価格で売却できる特徴があります。
一方、買取は相場価格から7割から8割の買取価格になる可能性があり、早期売却できる点が特徴です。
土地買取で売却を進めるには、さまざまな注意点があります。
土地買取で売却する場合は、まずどのような注意点があるかを確認して、メリットやデメリットについても確認をしましょう。
また、土地買取で損しないためには、複数社への依頼が適切です。
複数社からの査定や条件を比較することで、納得のいく土地の売却をおこなえます。